○アダルト・チルドレン(Adult Children,AC)

Q.なんだか生きにくい、楽しみたいはずなのに何をしても楽しめない、人と関わりたいのに疲れるからやっぱり関わりたくない、今の自分は本当の自分ではない、何をしても罪悪感がつきまとうからもう何もしたくない、とにかく毎日が辛いもういやだ、などと感じることがありますか?

アダルト・チルドレンとは、安全な場所として機能しない家族のなかで育って大人になった人々のなかで、不当な生きにくさに苦しんでいる人たちです。特徴として周囲が期待しているように振る舞おうとする,NOが言えない、しがみつきと愛情を混同する,楽しめない,フリをする,自己処罰に嗜癖(しへき)しているなどがあげられます(前置きが長いので、もし早く知りたい人は、下に詳しい特徴が書いてあるんで読んでみてくださいね。ここをクリックすると一気に跳ばせます)。

アダルト・チルドレンというのは、精神医学上の診断名ではありません。
自分の生きにくさの由来を理解し、成長の出発点とするための自己認識、自覚
です。ですから、自分がアダルト・チルドレンだと思えばアダルト・チルドレンですし、アダルト・チルドレンじゃないと思えばアダルト・チルドレンではないです。「いま思えば自分は過去にアダルト・チルドレンのようだった気がするけど、いまは自分らしく生きていけてるからきっと乗り越えたんだなぁ」、と思うならそれはそれでいいし、「自分はときどきアダルト・チルドレンだけどアダルト・チルドレンじゃないときもあるよ」とか、「アダルト・チルドレンとまではいかなさそうだけど、気持ちがとてもよくわかるから近いな」、と思ってもいいんです。

自分にレッテルを張るためのものでもなく、人からレッテルを貼られるためのものでもないです。アダルト・チルドレンは、自分を、生きにくさや苦しみから少しずつ解放してあげて、本来持っている(なくしてしまったわけではなく、押さえ込まれてしまって今は弱くなっているだけ)自分の中にある生きていく力、人生に喜びを見出す力を取り戻すための方略なんです。

アダルト・チルドレンの心の中は見た目にはわかりにくくても、当人の中では常に嵐のまっただ中のような状態です。前にも進めず、後ろに下がることもできず、助けを呼ぶこともできません。矛盾した2つの感情がどちらも真実であるため、混乱してしまいます。適応力はとても身に付いているため、かえって過剰適応となって苦しめます。この悪循環が悪循環を呼ぶ中にずっと巻き込まれたままではこころはいつかは崩壊してしまうか、引き裂かれてしまうことでしょう。いままでは恐怖と罪悪感にさいなまれながらも一人で孤独に頑張ってなんとか維持してきました。でも悪循環を断ち切ることは可能です。アダルト・チルドレンは、自分にとって安全な場所を見つけ、自分が自分を受け止められるように、自分の中に残っている力の手助けをし、少しずつ自然な自分を取り戻していこうとする人たちがたどりつく自覚です。

Q.ある人に、「あなたはアダルト・チルドレンなんじゃないの?」と言われました。どう思うでしょうか?


全然そう思わない人だと、「違うでしょ」とさらっと言えるでしょう。その場合はせっかくの機会なのでアダルト・チルドレンの抱える生きにくさについて話し合ってみてはどうでしょうか。アダルト・チルドレンの問題の多くは人との関わりの中に出てきます。だから人ごとではないですよね。

気分を害する人いるかもしれません。その場合、なんで自分は気分が悪くなったのかちょっと考えてみるといいかもしれませんね。「自分はアダルト・チルドレンなんかじゃない」と思って怒った人がいたとしたら、アダルト・チルドレンに対して偏見があるのかもしれないし、相手がイメージする偏った『アダルト・チルドレン』像に自分を当てはめられたと感じたからかもしれません。偏見は誰にでもあると思います。偏見は頭の中にイメージしたものですから、知識や経験の不足があればどうしても偏ってしまいますよね。世の中いろんなことがあります。すべて知ること体験することはなかなか難しいでしょうし、したくないこと興味がないこともきっとありますよ。忘れてはいけないことは偏見は人を傷つけたり差別に繋がるということです。人を根拠もなく、または根拠にならない根拠で差別すること(二重の表現で間違ってますが)は、自分の無知をさらしてることと同じだと知っておくべきです。でも偏見はやっぱり誰にでもきっとあります。無い人いますかねぇ?そのつど、誤ったときはその自分を認めて修正していけばいいんじゃないでしょうか。…かなーり話が逸れてしまいました。

心当たりがある場合、見破られた感じがして、とても恥ずかしい気持ちになるかもしれませんね。でも恥ずかしかったとしても、自分を恥じる必要はありません。なぜなら自分の判断ではないからです。人によっては「(なんだこいつは、自分のことを何も知らないくせに適当なことを言う)」とか心の中で思い、怒りを覚えるかもしれませんね。そのときは、怒らないまでも「適当なこと言わないで」と伝えた方がいいかもしれません。

アダルト・チルドレンについて中途半端に知ってる人に言われたとします。自分のことを本当に心配してくれてるからこその発言だったのかもしれません。でも「私がアダルト・チルドレンだと知られたら見捨てられてしまう」と怖くなるかもしれません。戸惑って何も言えなくなってしまうかもしれません。そのときは何も無理に返さなくていいと思います。「そーかもねぇ、そう見える?どーしてそう思うたん?」「そーゆーあなたはもしかしてアダルト・チルドレンなの?」「アダルト・チルドレンって何ですか?」などとソフトに聞き返してみると、話が発展するかもしれません。そこから相手の真意を聞いてみたらどうでしょう?もしかしたら、あなたのよき理解者になる人かもしれませんよ!いいですねぇ。
さてさて、話の流れを元に戻しましょう。すぐに脱線してしまいますね。 ここでは、

@疾患由来のものでもなく、障害由来のものでもないが、家庭環境に起因されるとされる生きにくさを抱えるアダルト・チルドレンへの理解を深め、関わる者の一人としてできることは何か、どうすればいいのか、どういったことが問題か、何をすべきか、を考えます

Aアダルト・チルドレンは年齢的に大人になった人を指しており、その人たちが自分を取り戻すための具体的な方法を示すものだが、子ども時代の内面は嵐のようであるにもかかわらず、集団の中では目立たない「いい子」であることが多いので見過ごしてしまう可能性がある。一方でいま、またはこれから家族に心を傷つけられる子どもたちの将来像でもあるという視点から考えます

Bこの複雑な心的状況は、独特ではあるがアダルト・チルドレンにおいて極端に現れているだけでアダルト・チルドレン特有の心の状態ではないという見方をします

Cまた、高機能広汎性発達障害は認知面から考える必要があるけど、高機能広汎性発達障害である人たちの心的状況と多くの共通する部分があるのではないかと僕は考えているので、この点について考えるきっかけになればいいな、と思っています


まずはアダルト・チルドレンという言葉の歴史から見ていきましょう

1.アダルト・チルドレンの概念の原点
ACoA(Adult Children of Alcoholics)

アルコール依存症者、自らも犠牲者ではあるものの、周囲の人々に大きな迷惑をかける

もっとも大きな被害をこうむるのはアルコール依存症者にもっとも近い人たちである家族

アルコール問題のある家族で育ったために心に傷を負った子どもたち

自尊心、自己評価が低い

自尊心の高い子ども
・不安や神経症的症状を見せることが少ない
・自分の能力を現実的に評価することができる
・自分が他人から好意をもたれていると考える
・他人を受け入れ、他人もまた彼らを受け入れる

自尊心の低い子ども
・すぐに挫折し、ときには抑鬱状態になることがある
・孤独感がある
・自分は人から愛されていない、あるいは愛されるに値しないと感じている
・自分の気持ちや考えを表現する能力や自分の至らない点を弁護する能力に乏しい
・あまりにも人目を気にしすぎ、不安が強すぎるために願望達成能力が低い

年齢は自尊心の決定因として重要ではないということが証明されている
…18歳の青年も、12歳の少年も基本的には同じように自分を見ている
 行動の差はあっても、自我感情の差はない
    ↓
 自己イメージというものは何らかの介入がない限りどんなに時間がたっても変わらない 

1969『忘れ去られた子どもたち』
ACについて書かれた最初の本カナダでひっそり出版
1981『私は親のようにならない』クラウディア・ブラック著
   ACのことを真っ正面から取り上げた本
1983『アダルト・チルドレン・オブ・アルコホリックス』ジャネット・ウォイティッツ著 

○ACは精神医学上の診断名ではない

ACoAP(アビューシブペアレンツ)
虐待する親のもとで育ち、大人になった人
ACoD (Adult Children of Dysfunctional Family)
機能不全家族のもとで育ち、大人になった人

・精神科医師は、ACという用語を避け、外傷性精神障害、解離性障害、PTSDといった専門用語を使う傾向がある
・精神障害、行動障害の危険因子を抱えた人々であり、ACの一部はたとえ診断はされていなくても、虐待のようなトラウマに関係した外傷性精神障害になっている
・重症の摂食障害や若年の薬物乱用者の大部分は、明らかな機能不全家庭で育っているという事実がある

2.子どものとき何が起きたのか
○機能しない家族とは
 機能する家族…子どもにとって「安全な場所」であり、そのなかで自らの自己を充分に発達できる

機能不全家族 機能している家族
・強固なルールがある・強固な役割がある・家族に共有されている秘密がある・家族に他人が入り込むことへの抵抗・きまじめ・家族成員にプライバシーがない(個人間の境界があいまい)・家族への偽の忠誠(家族成員は家族から去ることが許されていない)・家族成員間の葛藤は否認され無視される・変化に抵抗する・家族は分断され統一性がない ・強固なルールがない・強固な役割がない・家族に共有されている秘密がない・家族に他人が入り込むことを許容する・ユーモアのセンス・家族成員それぞれの個人プライバシーを尊重され、自己という感覚を発達させている・個々の家族成員は家族であるとの感覚を持っているが、家族から去ることも自由である・家族成員間の葛藤は認められ解決が試みられる・常に変化しつづける・家族に一体感がある
表.機能している家族と機能不全家族の相違(1985 クリッツバーグ)

○子どもが家族の中で引き受ける役割
機能不全家族のなかで子どもは窒息感を抱きながらも、家族から離れられず、家族の現状を躍起になって守ろうとする。この努力が重ねられるうちに、子どもは機能不全家族を維持し続けるための一定の役割にはまりこみ、それを演じ続けることになる

<典型的なもの>
【ヒーロー】
家族の関係を良好にするために、世間に評価される家族の代表になる
【スケープゴート(犠牲の山羊)】
一家の中のダメを全部背負うような子ども
【ロスト・ワン(いない子)】
目立たない、いなくなったことも気付かれない忘れ去られた子ども
【プラケーター(慰め役の子)】
【クラン(道化役の子)】
【イネイブラー(支え役の子)】

<共通すること>
・意識的にこのような行動を取るわけではない
・自分の都合でなく、家の中の雰囲気、母親の顔色、父親の機嫌などを優先して考えるという生き方の結果、自分の感情を感じることや、自分の欲求を持つことができない
・他人の欲望を自己に取り入れて、それを自分の欲望のように生きている→共依存

<ダブル・メッセージ>
・機能不全家族のなかではたくさんの矛盾する2つの意味を持つメッセージが発せられる
・このメッセージはおそらくどちらも真実であり、内面化する子どもの自己感は徐々にゆがんだものになっていき混乱する
・このメッセージの紛らわしさが、これを利用する者にとっては好都合
・家庭には子どもと話し合う時間もエネルギーもなく、家庭で学ぶべき人生の多くの側面を学び損なう

例.「愛しているよ──消え失せろ」
「あなたはお母さんの大切な子だよ」と言う。しかし、一方で母親は子どもと遊んでやらなかったり、子どもに関心を示さなかったり、子どもの存在が邪魔で煩わしくてたまらないというような態度を取る(非言語的メッセージ)

例.「お前は無能だ──私にはお前が必要だ」
 親は完璧主義者で子どもが何をやっても酷評をする。子どもがどんなに良いことをしても喜ばないで必ず何かしら欠点を探し出す。しかし、一方で子どもは親を精神的に支える役割までもつことになる

例.「いつも本当のことを言え──私は知りたくない」
 家の中では「本当のこと」など何の意味も持たず、「いつも本当のことを言え」というのは親の口先だけの訓戒だということが子どもにも分かるようになる

例.「私を当てにしていいよ──今度はきっとやるからね」
 親は子どもを安心させたり喜ばせたりするような約束をいくらでもするが、何一つ実現しない。「今回はできなかったけれど次回は必ずやる」という意味で、そこからは実際に行動することよりも行動する意図があるということで評価を得ようとする親の意向が見えるが、「こんど」は決してやってこないことを了解する。「そんな約束は忘れてしまえ」という意味が隠されている

例.「すべてうまくいっているから心配するな──こんなごたごたは私の手には負えない」
 子どもの前で親は絶望感をあらわにしながら「心配するな」と言う

3.今は何が起きているのか  

 私は誰かに話をしている最中に自分が嘘をついていることに気が付くと、「やめなければ。これは嘘だわ。そうじゃない。初めから言い直さなければ」と思うのですが、そんなことは恥ずかしくてとてもできません。子どもの頃嘘をつかなければならなかったかどうかはわかりませんが、とにかく嘘をついていたのは覚えています。たぶん、人から注目してもらいたくて、ありもしない話をでっち上げていたのでしょう。でも、見破られなかったのは残念な気がしますだって、もし周りの人たちが、私に話しかけて言葉をよく聞いていたなら、私がでたらめを言っているのがわかったでしょうから。私のでたらめが見抜けなかったということは、私にそこまで注意を払っていなかったということですものね。でも、私は

○ACoAの特徴(ジャネット・ウォイティッツ『アダルト・チルドレン-アルコール問題家族で育った子供たち-』より)

@アダルト・チルドレンは何が正常かを推測する
Aアダルト・チルドレンは物事を最初から最後までやり遂げることが困難である
Bアダルト・チルドレンは本当のことを言った方が楽なときでも嘘を付く
Cアダルト・チルドレンは情け容赦なく自分に批判を下す
Dアダルト・チルドレンは楽しむことがなかなかできない
Eアダルト・チルドレンは真面目すぎる
Fアダルト・チルドレンは人と親密な関係を築きにくい
Gアダルト・チルドレンは自分がコントロールできない変化に過剰反応する
Hアダルト・チルドレンは他人からの肯定や承認を常に求める
Iアダルト・チルドレンは自分が他の人たちと違っていると感じる
Jアダルト・チルドレンは責任を取りすぎるか、責任を取らなすぎるかどちらかである
Kアダルト・チルドレンは過剰に忠実で、たとえ無価値な人間関係であってもそれにしがみつく
Lアダルト・チルドレンは衝動的である。他の行動が可能であると考えずに一つの行動に突っ走る。そのため、混乱、コントロールの喪失、自己嫌悪を招きやすい。その上、不祥事の後始末に過大なエネルギーを使う

○アダルト・チルドレンの感情と行動(斉藤学『アダルト・チルドレンと家族』より)

@アダルト・チルドレンは周囲が期待しているように振る舞おうとする
・「見捨てられる不安」に脅かされているため、周囲の雰囲気を読みとって自分が期待されいるように振る舞おうとする
・他人の評価をいつも気にし、傷ついている

Aアダルト・チルドレンは何もしない完璧主義者である
・極端に自己評価が低く、自尊心が損なわれているため完璧主義に導き、かえって何もできなくなる
・何かをすると自分の中の厳しい批判の声がその成果をけなすので怖くて手が出せない
・他人に批評されたり批判されると、それが温かいものであっても手ひどい非難のように聞こえて追い込まれてしまう

Bアダルト・チルドレンは尊大で誇大的な考えを抱えている
・幼児的で自己愛的な誇大傾向に由来するものであると同時に、成人としての自分に対する自己評価が低く、他人に自分の真価を知られることを怖れ恥じることからも来ている
・上下関係の無い対等な関係は、それがいかに親密そうなものであっても、ACにとっては肩苦しい違和感のあるものとして感じられその関係から逃げ去ってしまう

Cアダルト・チルドレンはNOが言えない
・見捨てられる恐怖から嘘をつく
・人間関係が重荷になり、引きこもるが一方で寂しさを訴える

Dアダルト・チルドレンはしがみつきを愛情と混同する
・孤独恐怖のために自分の世話を待っている人に出会うと、その人を支配し、離れられないようにしようとする(共依存的)

Eアダルト・チルドレンは被害妄想におちいりやすい
・自己評価が低いために、他人に良い評価をされているような気にはなれないため、他人の言葉やふるまいの背後にある悪意の空想的読心をしようとする
・これが孤立化させ、その孤立が自尊心をさらに下げるという悪循環におちいる

Fアダルト・チルドレンは表情に乏しい
・感情を認知することが不得手であり、それを表現することには恐怖を感じている

Gアダルト・チルドレンは楽しめない、遊べない
・生活の中に楽しみを見出すことが不得手、楽しむことに罪悪感すら感じる
・他人が自分をどう思っているかということに気を取られてほとんど楽しめない

Hアダルト・チルドレンはフリをする
・楽しくないのに楽しそうにふるまい、怒っているのに気にしてないフリをするのが得意で、自分自身に対して嘘をつき自然な感情を押し殺して生きている

Iアダルト・チルドレンは環境の変化を嫌う
・保守的で著しく頑固。それまでの生活習慣に固執し、それがいかに不適切なものであっても変えようとしない。変化することで心理的安定状況が変化することを怖れる
・まして、他人の強制による変化には反発する。他人からの変化を勧められると侵入されたように感じてしまう

Jアダルト・チルドレンは他人に承認されることを渇望し寂しがる
・他者からの「あるがままの自己の受け入れ」が得られないことに早々と失望してしまうために、常に寂しさの痛みを抱え、これが人生を苦しいもの、生きる価値のないものと感じさせる
・その失望は「愛を求める他者」に対する怒りや恨みとなり爆発することもあるが、多くは抑鬱状態や無力感や心身症や嗜癖の形で表現される

Kアダルト・チルドレンは自己処罰に嗜癖している
・親たちのために生きてきたので、親たちの期待からはずれたことを自覚すると、自己処罰の感情にとらわれる
・何かを達成した後にひどい抑うつと無気力に陥ることが多い

Lアダルト・チルドレンは抑うつ的で無力感を訴える。その一方で心身症や嗜癖行動に走りやすい

Mアダルト・チルドレンは離人感がともないやすい
・「自分が自分でないような感じ」「自分がなぜここにいるのか、わからなくなった感じ」
・ACにはいままでの自分の生活の中で思い出せない部分や人格から解離した部分をたくさん抱えている

4.

5.一つの実際に行われている方法の紹介

○リプロセス・リトリート(西尾和美『アダルト・チルドレンと癒し』より)

自覚することで自己が癒され回復
さまざまな精神療法のなかで、とくに効果のあったやり方を組み合わせたグループワーク
@リチュアル
・自分の問題に決着をつける機会として行う儀式的なもの
・その場への安全感やグループへの所属意識を促す目的
・過去の傷を捨て去り、癒していく作業の象徴や比喩として行うもの
Aジャーナリング
・自分の過去に受けた心の傷について回想したり、出さない手紙を自分や傷を与えた人にあてて書く
・心の傷に対する認識ができたり、書くこと自体が癒しにつながる
Bアートセラピー
・言葉では表現できない自分の問題や心の傷を、絵や粘土、コラージュなどで表現
・無意識の部分を意識上に上げる役割を果たす
・心の傷を外へ表現すること自体が癒しに繋がる
Cボディーセラピー
・心の傷は無意識のうちに体のあちこちに蓄積されている
・自分の心と体の結びつきを認知する
Dイメージセラピー
・インナーチャイルドの作業など心の傷のイメージをリラックスしながら心に思い浮かべたり、心の傷の癒される過程を指導にしたがってイメージしていく
Eメディエーション
・体や自分の心の奥からのメッセージに注目
・反射的に行動したり、先回りして心配することなく落ち着く
F話し合い
・自分の心の傷の経験を話し、わかちあって、支え合い力づける
・みんなに聞いてもらい認めてもらう
Gリプロセス
・心理劇などを組み合わせた体験的な精神療法
・自分の過去の傷を再現することで傷を洗い流し、人生のやり直しをし、古いトラウマを癒す